高校数学1ミリメートル

大方は教科書に書いてあることを、1mmだけ私流に述べているつもりの、1mm だけ役に立つかもしれない高校数学ブログ。クイズや練習問題有り ( 誤植も有り? )

Vol.21 こんな公式記憶する気になれん!?~~~~三角関数編~~その1~~

 拙ブログを訪れて頂きまして、有難うございます。月に1~2回程の更新を心掛けます。

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( お暇なときに、ケチでもお付けになりながら気分転換程度にお読み頂くのが宜しいかと・・・)


前回の解答解説

 次の 2 式を正弦関数のみを用いて表現することを考えてみる。

\[ 2\sin{\alpha} \cos{\alpha} \tag{1} \] \[ 2\sin{\alpha} \cos{\beta} \tag{2} \]

 上の 2 式を見て「 そう言えば、正弦関数の加法定理の右辺は正弦関数と余弦関数の積であった 」と、思い出す事が出来れば、解答に大きく近付いている。正弦関数の加法定理の式は次の通りである。

\[ \sin { ( \alpha + \beta ) } = \sin { \alpha } \cos { \beta } + \sin { \beta } \cos { \alpha } \tag{3} \] \[ \sin { ( \alpha - \beta ) } = \sin { \alpha } \cos { \beta } - \sin { \beta } \cos { \alpha } \tag{4} \]

そこで、

( 1 ) 式については、

 この ( 3 ) 式で \( \beta \) を \( \alpha \) に置き換え整理すると、

\begin{align} \sin { ( \alpha + \alpha ) } &= \sin { \alpha } \cos {\alpha} + \sin { \alpha } \cos { \alpha } \\ \\ \sin { 2 \alpha } &= 2 \sin { \alpha } \cos { \alpha } \\ \\ \therefore \ 2 \sin { \alpha } \cos { \alpha } &= \sin { 2 \alpha } \tag{5} \end{align}

 ( 5 ) 式が ( 1 ) 式を正弦関数で表現した式となる。この式は「 倍角の公式 」として高校数学の教科書が掲載していると思う ( 左辺と右辺が逆かもしれないが・・・ 多分、一つ前の式の形で載っていると思う。つまりこの問題は、教科書掲載の「 倍角の公式 」を 「 右辺から左辺へ見る 」問題となる )。

 次に、

( 2 ) 式については、

 ( 3 )、( 4 ) 式の右辺には\( \sin { \alpha } \cos { \beta } \) があるので、( 3 )、( 4 ) 式を辺々加えると、それぞれの右辺 2 項目が異符号同士のために相殺し、\( 2 \sin { \alpha } \cos { \beta } \) が表れる。左辺は正弦関数の和となり、正弦関数のみで表現出来る分けである。これに気付けば、

\begin{align} \sin { ( \alpha + \beta ) } &= \sin { \alpha } \cos { \beta } + \sin { \beta } \cos { \alpha } \\ +)\ \ \ \ \sin { ( \alpha - \beta ) } &= \sin { \alpha } \cos { \beta } - \sin { \beta } \cos { \alpha } \\ \hline \sin { ( \alpha + \beta ) } + \sin { ( \alpha - \beta ) } &= 2 \sin { \alpha } \cos { \beta } \\ \\ \therefore \ 2 \sin { \alpha } \cos { \beta } &= \sin { ( \alpha + \beta ) } + \sin { ( \alpha - \beta ) } \tag{6} \end{align}

ついでに ( 6 ) 式で、\( \alpha = \beta \) であれば、

\[ 2 \sin { \alpha } \cos { \alpha } = \sin { 2 \alpha } \ \ \ \ \ ( \ \because \sin{ 0 } = 0 \ \ ) \]

であり、これは ( 5 ) 式と一致する。( 6 ) 式での特定の状況が ( 5 ) 式という事であるが、当然と言えば当然である ( またまた当たり前であるが「 計算結果に整合性があるな 」という事になる )。

あの「 積 → 和の公式 」じゃないか・・・

 ( 6 ) 式は三角関数の「 積 → 和 」の公式の一つである。これまで見てきた通り、その「 積 」とは、正弦関数や余弦関数の加法定理に表れる三角関数の積の部分と考えてよい。

更に、「 和 → 積 」の公式の「 和 」の部分は、正弦関数や余弦関数の加法定理の式を辺々加えたり減じたりする左辺の部分である。

この考え方を取っ掛かりとして「 積 → 和 」の公式と「 和 → 積 」の公式を導き出すことは比較的容易と思える。

 三角関数の加法定理の「 積 → 和 」の公式と「 和 → 積 」の公式は、高校数学の公式のなかでは比較的紛らわしく、正確に記憶し辛いと思う。

 これらの公式は丸暗記すべきでは無い。それよりも正弦関数や余弦関数の加法定理の公式の形こそ記憶に留め、そこからこれらの公式を必要に応じて上記の様に自在に導き出すのが良いと思う。導き出すのに、あまり時間はかからないと思う。

 特に記憶力に優れているとか、何故かこれらの公式に限っては労せず完璧に記憶してしまえると言うので無ければ、これらの公式については、その導出の練習を強くお勧めしたい。


今月の問題

 以下の問について、三角関数の加法定理を参考に、導出過程も含めて記述せよ。


\begin{align} 問1. &" \sin{x} \sin{y} "  について、三角関数の和の形で表現せよ。\\ \\ 問2. &" \cos{x} + \cos{y} " について、三角関数の積の形で表現せよ。 \end{align}


 ( 2 題しか出題してないが、意欲溢れる閲覧者の方々は、教科書掲載の同様の公式の導出をガンガン行ってみてほしい )

 解答解説は次回に掲載予定です。


 次回も宜しくお願い致します。


問題その2

 休憩しましょう。


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Vol.20 卵が先か、鶏が先か? 因数分解の公式の導出~~その2


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前回の解答解説

 「次の式を有理数係数の範囲で因数分解せよ」と云う問題が出題されたときの事を考えてみる。

\[a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 \tag{1}\]

 ( 1 ) 式は教科書等が「ある式」の展開結果として示している事が多いと思う。その「ある式」を求める事になる。

前回の結果を用いる方法

 与式中の各項を眺めて、

\[ 3a^2b + 3ab^2 = 3ab ( a + b ) \]

である事と、前回の結果が、

\[ a^3 + b^3 = ( a + b )( a^2 - ab + b^2 ) \]

であることから、共通因数 \( ( a+ b ) \) が現れる事に気付くと因数分解完成は近い。運算を示すと、

\begin{align} & \ a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 \\ =& \ ( a + b )( a^2 - ab + b^2 ) + 3ab ( a + b ) \\ =& \ ( a + b )( a^2 -ab + b^2 + 3ab ) \\ =& \ ( a + b )( a^2 + 2ab + b^2 ) \\ =& \ ( a + b )( a + b )^2 \\ =& \ ( a + b )^3 \end{align}

\[ \therefore \ a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = ( a + b )^3 \]

( 恐らく ) 定石的な方法

 与式中の各々の文字について次数が同じ場合、先ずは、一つの文字で括ってみるのが定石とする場合は多いかと思う。そこで、試しに \(a\) で括ってみると、

\[ a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = a ( a^2 + 3ab + 3b^2 ) + b^3 \tag{2} \]

( 2 ) 式右辺の括弧の中を見て、その形が

\[ a^2 + 2ab + b^2 = ( a + b )^2 \]

の公式に近いことに気付いたとしよう、すると、

\begin{align} & \ a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 \\ =& \ a ( a^2 + 3ab + 3b^2 ) + b^3 \\ =& \ a ( a^2 + 2ab + b^2 + ab + 2b^2 ) + b^3 \\ =& \ a ( a^2 + 2ab + b^2 ) + a^2b + 2ab^2 + b^3 \tag{3}\\ =& \ a ( a + b )^2 + b ( a^2 + 2ab + b^2 )\\ =& \ a ( a + b )^2 + b ( a + b )^2\\ =& \ ( a + b )^2( a + b )\\ =& \ ( a + b )^3 \end{align}

( 3 ) 式でも右側の 3 項を共通因数 \( b \) で括ることにより、同じように

\[ a^2 + 2ab + b^2 = ( a + b )^2 \]

の公式を用いて共通因数 \( (a + b)^2 \) が現れ、これで括ることによって因数分解完成となる分けである。

\[ \therefore \ a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3 = ( a + b )^3 \]

因数分解を導出することができた。

 この因数分解は教科書等に載る程に有名なので、予め結果がお分かりの方が多かったかもしれない。結果を知っている因数分解の導出は「まあ、計算しているうちに何とか結論に辿り着けるだろう。何せ結論の式も含めて、因数分解できることが予め分かっているのだから」と、気楽に取り組めて、因数分解に慣れ親しむための練習に良いのではないかと秘かに思っている。ところで、

「 左辺を因数分解すると右辺になるから、右辺の展開は左辺である」のだろうか?いや、これは右辺の展開結果が左辺であるから左辺の因数分解は右辺であると考えるのが自然ではないのか?第一、最初に左辺の式を「この式を因数分解してみよう」と思い付くだろうか?

 そんな分けで今日も眠れないのだが、それで睡眠導入剤を服用するのは薬の飲み方として間違っているかもしれない ( 冗談です )。


 次に、

\[a^2+b^2\]

について、これは有理数係数の範囲では因数分解できない。そこで、複素数係数の範囲で因数分解してみる。結論を述べるのみで恐縮だが、 虚数単位 \("i"\) の、\( i^2 = -1 \) という性質を利用すると、

\[ a^2+b^2 = ( a + bi )( a - bi ) \]

 これもまた、高校数学の教科書が掲載する程に有名なものだが、複素数を用いると、有理数の範囲ではできなかった因数分解が可能になる代表例として 取り上げてみることにした。

 ( 嫌われがちかもしれない因数分解というものに、親しむ機会の一つとなりましたら幸いです。)


今月の問題

 次のそれぞれの式を正弦関数のみを用いて表現せよ。

\[ 2\sin{\alpha} \cos{\alpha} \]

\[ 2\sin{\alpha} \cos{\beta} \]

 解答解説は次回に掲載予定です。


 次回も宜しくお願い致します。


問題その2

 休憩しましょう。


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Vol.19 卵が先か、鶏が先か? 因数分解の公式の導出~~その1


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前回の解答解説

次の式を因数分解せよと云う問題が出題されたときの事を考えてみる。

\[a^3 + b^3\tag{1}\]

この因数分解もまた、多くの高校数学の教科書や参考書、公式集等が掲載している。その導出過程を検討してみる。先ずは、この因数分解が\((a+b)\)を因数に持つと仮定し、因数になり切れない部分の帳尻を合わせ、次のように式変形をしてみることにする。

\[a^3+b^3 = (a+b)(a^2+b^2)-ab^2-ba^2 \tag{2}\]

「予め因数分解の結果が \((a+b)\) を因数に持つと分かっているからこの変形が出来るんじゃないか?」と仰る方々もおられるかとは思うが、 結果を知らなくても、\((a+b)\) を因数に持つことを仮定するのは、別に不自然な事とは言えないと、私は思う。

ところで、( 2 ) 式の右辺 2 項目と 3 項目を共通因数 \(-ab\) で括ると \((a+b)\) が現れるではないか!式全体を \((a+b)\) で括ることができる。よって、

\begin{align} & \ (a+b)(a^2+b^2)-ab^2-ba^2 \\ =& \ (a+b)(a^2+b^2)-ab(a+b)\\ =& \ (a+b)(a^2-ab+b^2) \end{align}

結局、

\[\therefore \ a^3+b^3 = (a+b)(a^2-ab+b^2)\]

因数分解を導出することができた。「 右辺を展開すると左辺になるから、左辺の因数分解は右辺である。」のは分かるが、しかしこの、展開すると左辺になるその「右辺」を最初に考え付くだろうか?やはり最初は左辺から右辺へ因数分解することでこの公式が出来たのではないか?

凡人かつ小市民の私は、今日も眠れない。

( 嫌われがちかもしれない因数分解というものに、親しむ機会の一つとなりましたら幸いです。)


問題

もしもシリーズ?

此処まで来たら、これも出題したくなったのです

以下の式の ( 有理数係数の範囲での ) 因数分解の導出過程を記述せよ

\[a^3 + 3a^2b + 3ab^2 + b^3\]

これだけでは何ですから、参考迄に、次の問題もどうぞ。

以下の式を複素数の範囲で因数分解せよ

\[a^2+b^2\]

解答解説は次回に掲載予定です。


 上記の因数分解は、2つとも教科書等が掲載していると思います「 手抜きをするな!」とは仰らずに。因数分解の練習と思ってやってみて下さい。こんな出題の仕方で恐縮であります。

 次回も宜しくお願い致します。


問題その2

休憩しましょう。


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Vol.18 こんな公式記憶する気になれん!?~~~~因数分解編~~その1~~


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前回の解答解説

次の式を因数分解せよと云う問題が出題されたときの事を考えてみる。

\[a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \tag{1}\]

実はこの式の因数分解は、多くの高校数学の教科書や公式集が掲載していると思うので、その公式を正確に記憶しているならば即座に正解することが出来る。しかし、その記憶が曖昧だとか、その因数分解の結果の存在について知ってはいるが記憶はしていないとか、全く知らないとなると自分で導出しなくてはいけない。

( それに、公式集の当該箇所を見たとして、そこにある因数分解の式は正確なのだろうかと云う事もある。そんな事を言うと著者や出版社の反感を買いそうだが、例えば、数学のテキストに誤植を散見することは多い。出版後に出版社が Web 上で誤植の訂正を掲載するのを、よく見かける。私の経験で恐縮だが。)

しまった、また前置きが長くなってしまった

さて、( 1 ) 式のなかに \( a^3+ b^3 \) があるので、それなら \[ \alpha^3+\beta^3 = ( \alpha + \beta )^3 - 3\alpha\beta ( \alpha + \beta )\tag{2}\] と云う式を利用できるかもしれない。

因数分解なら \[ \alpha^3 + \beta^3 = ( \alpha + \beta ) ( \alpha^2 - \alpha\beta + \beta^2 )\] が有るではないか! と思われるかもしれないが、( 2 ) 式の利用から始めてみることにするのだ。

\begin{align} & a^3 + b^3 + c^3 - 3abc\\ = & ( a + b )^3 - 3ab ( a + b ) + c^3 - 3abc \tag{3} \end{align}

(3) 式迄を考えて、この右辺の2つの3次の項 \( ( a + b )^3 と c^3 \) に、再度 \( \alpha^3 + \beta^3 = ( \alpha + \beta )^3 - 3\alpha\beta ( \alpha + \beta ) \) を用い、残りの2項を \( - 3ab ( a + b ) - 3abc = - 3ab ( a + b + c ) \) とすることで、共通因数 \( ( a + b + c ) \) が現れることに気付くと、因数分解の完成は近い。

其々整理すると、
\begin{align} ( a + b )^3 + c^3 =& \{ ( a + b ) + c \}^3 - 3 ( a + b ) c \{ ( a + b ) + c \} \\ =& ( a + b + c )^3 - 3 ( a + b ) c ( a + b + c ) \\ =& ( a + b + c ) \{ ( a + b + c )^2 - 3 ( a + b ) c \} \tag{4}\\ \\ - 3ab ( a + b ) - 3abc =& - 3ab ( a + b + c ) \tag{5} \end{align}

では、因数分解を進めよう。元々の式である ( 1 ) 式 = ( 4 ) 式 + ( 5 ) 式であるから、
\begin{align} a^3 + b^3 + c^3 - 3 abc =& ( a + b + c ) [ \{ ( a + b + c )^2 - 3 ( a + b ) c \} - 3ab ] \\ =& ( a + b + c ) ( a^2 + b^2 + c^2 - ab -bc -ca ) \end{align} と云うわけで、因数分解することが出来た。

( 実は、何処でも見かける定石的手法と思います。私なりの解説を加えてみたものであることを付記致します。この因数分解に触れる機会の一つとなりましたら幸いです。また、複雑と感じる公式の記憶には、その導出の練習が役に立つかもしれません)



問題

もしもシリーズ?

若しもこんな問題が、しかも入試で、出題されたらどうするか?

というわけで、

以下の式の ( 有理数係数の範囲での ) 因数分解の導出過程を記述せよ

\[a^3 + b^3\]

解答解説は次回に掲載予定です。


 上記の因数分解は、本稿にチラッと結果のみ示しております。「 出題の順序が逆じゃないか !同じ3次式でも、こっちは2項しかないぞ」と、聞こえてきそうであります。実は、本稿を書いているうちに、ふと、思い付いて出題致しました。こんな出題の仕方で恐縮であります。

 閑話休題

 こういった、既知の公式等を導出する出題に関連して、よく思い出すことが有ります。

 テレビで手品を見ていて「 手品師、一体どうしてこんな事が出来るのか?その仕掛けが全く分からん 」と、日頃から思っていたときのことです。

 私が一番凄いと思う手品師がテレビ番組で「 手品師は、様々な手品の古典をトレーニングするなかでオリジナルの手品を考案するのだ 」と言うのを聞いて、これは多くの事を学んだり習得することに通じると思った事があります。

 数学の習熟や発見もまた、これに共通することが有るのでは無いか?と言うことを考える事があります。つまり既知の定理や公式を、改めて自分で導いたり証明することが数学力の向上に繋がると。

 余談ですが、その手品師の話こそが手品というもの、そのものの最大の種明かしかもしれません ( ついでに、やはり手品師は魔術師では無いようです。その手品師によればの話ですが。また余談が過ぎてしまいました )。

 次回も宜しくお願い致します。


問題その2

休憩しましょう。


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Vol.17 部分積分1ミリメートル


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前回の解答解説

その前に・・・

今更、と思われるかもしれないが、部分積分の公式を導出してみようと思う。部分積分の公式は、関数の積の微分公式から次の様に導出できる。\(x\ を独立変数とする 2 つの関数\ u,\ v\ の積を\ x\ で微分すると、\)

\[\frac{d}{dx}\ ( u \cdot v ) = \frac{du}{dx}\ v + u\ \frac{dv}{dx}\]

次に、上式の両辺を \(x\) で積分する。

\[\int \frac{d}{dx}\ ( u \cdot v )\ dx = \int \frac{du}{dx}\ v\ dx + \int u\ \frac{dv}{dx}\ dx\]

ここで、右辺の 1 項目か、若しくは 2 項目を左辺に移項する。ここでは 2 項目を移項する事にする ( その後、見かけを整えるために左辺と右辺を入れ換える )。

\[ \int \frac{du}{dx}\ v\ dx = \int \frac{d}{dx}\ ( u \cdot v )\ dx - \int u\ \frac{dv}{dx}\ dx \]

右辺 1 項目の積分を進めることが出来る。その際、不定積分であるので、その積分定数を \(C\) とすると、

\[\int \frac{du}{dx}\ v\ dx = u \cdot v + C - \int u\ \frac{dv}{dx}\ dx \tag{1}\]

部分積分の公式 (1) 式を導出する事が出来た。先ずは前回の問題に対して (1) 式を適用して解いてみると、

\begin{align} &\int \cos{x} \sin{x} dx = \sin^2{x} + C - \int \sin{x}\cos{x} dx\\ &2\int \cos{x} \sin{x} dx = \sin^2{x} + C\\ &\int \cos{x} \sin{x} dx = \frac{1}{2}\sin^2{x} + \frac{1}{2}C\\ &\mathrm{ここで、\frac{1}{2}C を新たな積分定数 C とする事にして、}\\ &\int \cos{x} \sin{x} dx = \frac{1}{2}\sin^2{x} + C \tag{2} \end{align}

私がこれまで見てきた微積分の教科書や参考書が掲載している部分積分の公式は、(1) 式の右辺 2 項目の \( C \) を、左辺や右辺3項目の積分結果の積分定数と合算するという事で表記を省略し、

\[\int \frac{du}{dx}\ v\ dx = u \cdot v - \int u\ \frac{dv}{dx}\ dx \tag{3}\]

と、していると思う。この部分積分の公式 (3) 式で上の積分の問題を解いてみると、

\begin{align} &\int \cos{x} \sin{x} dx = \sin^2{x} - \int \sin{x}\cos{x} dx\\ &2\int \cos{x} \sin{x} dx = \sin^2{x}\\ &\int \cos{x} \sin{x} dx = \frac{1}{2}\sin^2{x} \tag{4} \end{align}

となる。この結果は、「 その積分定数は 0 である 」と言っている。しかし「 0 と限定するのは原始関数の表記としておかしいし、第一、計算結果が (2) と (4) で違うじゃないか 」等と、悩んでしまい ( ? ) 夜も眠れず、食事も喉を通らず、青信号と赤信号を間違える ( ? ) 等したら大変だ。
それなら、計算結果 (4) に \(+\ C\) として、 \[\frac{1}{2}\sin^2{x}+C\] としてしまえば良い。それで良いと思う。どうせ定数項は微分すると消えてしまうのだから、それで積分結果としての原始関数の表記として通用すると思うし、計算結果 (2) 式と一致してスッキリする。



問題

もしもシリーズ?

若しもこんな問題が、しかも入試で、出題されたらどうするか?

というわけで、

以下の式を因数分解せよ

\[a^3 + b^3 + c^3 - 3abc\]


 相変わらず余計な解説をするな!下らん冗談を言うな!と言われながらも書いております。ケチでもお付けになりながらお読み頂くのが宜しいかと。

 次回も宜しくお願い致します。


問題その2

休憩しましょう。


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 贈り物に万年筆は定番かと。進級、進学、就職、お誕生日、等々の記念にどうぞ。

 私が甥に高校の進学祝いで贈ったときに「使い道が分からん」と言われてショックを受けたことがありましたが「 英文の書き取りにでも使ってみてはどうか? 」と切り返すことができ、その場を切り抜けたと言う、何ともほろ苦い記憶があります。

 「 ゲーム機等の方が良かった 」と思われていたらショックが大きいのですが、古き良き贈り物として持ち続けていてくれたら、伯父としては嬉しいのです。

 もっとも、私が贈ったのはもっと ( 遥かに ) リーズナブルなものですが、普段は買わない、少しだけ高級なものをお贈りすると、一層、喜ばれるかもしれません。


 甥に万年筆を贈った後、それ迄ボールペン派だった私も万年筆が欲しくなり、入手し、今ではすっかり万年筆派になっています。甥への合格祝いが私の万年筆を使い始めるきっかけとなり、数学の勉強にも万年筆を使っています ( 実は、これよりずっとリーズナブルな物ですが )。

 上に挙げたものは、多くの方の評価良き一本で、私も購入検討中です。



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