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( お暇なときに、ケチでもお付けになりながら気分転換程度にお読み頂くのが宜しいかと・・・)
前回の解答解説
次の式を因数分解せよと云う問題が出題されたときの事を考えてみる。
\[a^3 + b^3 + c^3 - 3abc \tag{1}\]
実はこの式の因数分解は、多くの高校数学の教科書や公式集が掲載していると思うので、その公式を正確に記憶しているならば即座に正解することが出来る。しかし、その記憶が曖昧だとか、その因数分解の結果の存在について知ってはいるが記憶はしていないとか、全く知らないとなると自分で導出しなくてはいけない。
( それに、公式集の当該箇所を見たとして、そこにある因数分解の式は正確なのだろうかと云う事もある。そんな事を言うと著者や出版社の反感を買いそうだが、例えば、数学のテキストに誤植を散見することは多い。出版後に出版社が Web 上で誤植の訂正を掲載するのを、よく見かける。私の経験で恐縮だが。)
しまった、また前置きが長くなってしまった
さて、( 1 ) 式のなかに \( a^3+ b^3 \) があるので、それなら \[ \alpha^3+\beta^3 = ( \alpha + \beta )^3 - 3\alpha\beta ( \alpha + \beta )\tag{2}\] と云う式を利用できるかもしれない。
因数分解なら \[ \alpha^3 + \beta^3 = ( \alpha + \beta ) ( \alpha^2 - \alpha\beta + \beta^2 )\] が有るではないか! と思われるかもしれないが、( 2 ) 式の利用から始めてみることにするのだ。
\begin{align} & a^3 + b^3 + c^3 - 3abc\\ = & ( a + b )^3 - 3ab ( a + b ) + c^3 - 3abc \tag{3} \end{align}
(3) 式迄を考えて、この右辺の2つの3次の項 \( ( a + b )^3 と c^3 \) に、再度 \( \alpha^3 + \beta^3 = ( \alpha + \beta )^3 - 3\alpha\beta ( \alpha + \beta ) \) を用い、残りの2項を \( - 3ab ( a + b ) - 3abc = - 3ab ( a + b + c ) \) とすることで、共通因数 \( ( a + b + c ) \) が現れることに気付くと、因数分解の完成は近い。
其々整理すると、
\begin{align}
( a + b )^3 + c^3 =& \{ ( a + b ) + c \}^3 - 3 ( a + b ) c \{ ( a + b ) + c \} \\
=& ( a + b + c )^3 - 3 ( a + b ) c ( a + b + c ) \\
=& ( a + b + c ) \{ ( a + b + c )^2 - 3 ( a + b ) c \} \tag{4}\\
\\
- 3ab ( a + b ) - 3abc =& - 3ab ( a + b + c ) \tag{5}
\end{align}
では、因数分解を進めよう。元々の式である ( 1 ) 式 = ( 4 ) 式 + ( 5 ) 式であるから、
\begin{align}
a^3 + b^3 + c^3 - 3 abc =& ( a + b + c ) [ \{ ( a + b + c )^2 - 3 ( a + b ) c \} - 3ab ] \\
=& ( a + b + c ) ( a^2 + b^2 + c^2 - ab -bc -ca )
\end{align}
と云うわけで、因数分解することが出来た。
( 実は、何処でも見かける定石的手法と思います。私なりの解説を加えてみたものであることを付記致します。この因数分解に触れる機会の一つとなりましたら幸いです。また、複雑と感じる公式の記憶には、その導出の練習が役に立つかもしれません)
問題
もしもシリーズ?
若しもこんな問題が、しかも入試で、出題されたらどうするか?
というわけで、
以下の式の ( 有理数係数の範囲での ) 因数分解の導出過程を記述せよ
\[a^3 + b^3\]
解答解説は次回に掲載予定です。
上記の因数分解は、本稿にチラッと結果のみ示しております。「 出題の順序が逆じゃないか !同じ3次式でも、こっちは2項しかないぞ」と、聞こえてきそうであります。実は、本稿を書いているうちに、ふと、思い付いて出題致しました。こんな出題の仕方で恐縮であります。
閑話休題
こういった、既知の公式等を導出する出題に関連して、よく思い出すことが有ります。
テレビで手品を見ていて「 手品師、一体どうしてこんな事が出来るのか?その仕掛けが全く分からん 」と、日頃から思っていたときのことです。
私が一番凄いと思う手品師がテレビ番組で「 手品師は、様々な手品の古典をトレーニングするなかでオリジナルの手品を考案するのだ 」と言うのを聞いて、これは多くの事を学んだり習得することに通じると思った事があります。
数学の習熟や発見もまた、これに共通することが有るのでは無いか?と言うことを考える事があります。つまり既知の定理や公式を、改めて自分で導いたり証明することが数学力の向上に繋がると。
余談ですが、その手品師の話こそが手品というもの、そのものの最大の種明かしかもしれません ( ついでに、やはり手品師は魔術師では無いようです。その手品師によればの話ですが。また余談が過ぎてしまいました )。
次回も宜しくお願い致します。
問題その2
休憩しましょう。
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