今回は、以下の式を因数分解する過程での(余計な?)解説を致しております。
\[ ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) - 3 \]
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( お暇なときに、ケチでもお付けになりながら気分転換程度にお読み頂くのが宜しいかと・・・)
前回の問題の( 私の )解答解説
「以下の(1)の様な式が整式の積の形であると助かるのだが \( \cdots \) 」
\[ ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) - 3 \tag{1} \]
と思う様な状況が、これからもあるかもしれない。そんなことを考えてみながら出題してみた。
さて、この(1)式を因数分解(つまり、多項式の積の形にすること)するべく展開し、文字 \(m\) について(降べきの順に)
整理すると、4次式になるのは自明だ。その状況で公式に当てはめたり、因数定理を用いようとしても(私には)どうにも難しそうだ。
何か使えそうなパターンは無いものか?と思いつつ、一気に全て展開せずに、積の組み合わせを考えて部分的に展開をしてみると、
\( ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) \) の部分について、\( ( m+1 ) \) と \( ( m+4 ) \) との積が 、
\[ ( m + 1 )( m + 4 ) = m^2 + 5m + 4 \]
同様に、
\[ ( m + 2 )( m + 3 ) = m^2 + 5m + 6 \]
よって、
\[ ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) = ( m^2 + 5m + 4 )( m^2 + 5m + 6 ) \tag{2}\]
(2)式右辺の双方の括弧の中に同じパターン \( m^2 + 5m \) が表れた。これを文字 \( t \) で置き換え、\( t = m^2 + 5m \) として、
(1)式を書き直すと、
\[ ( t + 4 )( t + 6 ) -3 \tag{3} \]
となる。この(3)式を展開、整理してみると「これなら因数分解できそうだ!」と云う分けである。最後に忘れずに、
自分で導入した \(t\) を \( m^2 + 5m \) に戻して、因数分解完成となる。一連の運算は、
\begin{align}
&\ ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) - 3 & \\ \\
=&\ ( m^2 + 5m + 4 )( m^2 + 5m + 6 ) -3 \\ \\
=&\ ( t + 4 )( t + 6 ) - 3 \\ \\
=&\ t^2 + 10t + 24 - 3 \\ \\
=&\ t^2 + 10t + 21 \\ \\
=&\ ( t + 3 )( t + 7 ) \\ \\
=&\ ( m^2 + 5m + 3 )( m^2 + 5m + 7 )
\end{align}
\[ \therefore \ \ \ ( m + 1 )( m + 2 )( m + 3 )( m + 4 ) - 3 = ( m^2 + 5m + 3 )( m^2 + 5m + 7 ) \tag{4} \]
(4)式の右辺は、有理数係数の範囲ではこれ以上因数分解できない。よって、これが因数分解の結果となる。
因数分解とは、ザックリ言うと、整式を多項式の積の形にすることである。何でそうするかというと、例えば、そうする事で
元の式について分かり易くなる事があったり、その後の運算に都合がよかったりするからである。
習い始めの時は、生徒はほとんどそれを知らされずに、ひたすら公式と定石を覚えさせられ、因数分解の問題演習をさせられ、
取り敢えず定期テストで高得点を要求される。
その後、数学の学習が進むにつれて生徒自身が「なるほど、こういう場面で必要なのか」と納得していくようになる。
やがて「ここでこの式が因数分解できると良いのだが」と思う場面が出てきたりする(私の場合がそうである)。
そう思う様になる迄は「何でこんな面倒で無味乾燥な事をしなければならないのか」「やっておれん」という心境でいる
かもしれない(実は私がそうだった)。
一方で、履修中や履修したてであっても「一流大学、高級官僚への道は因数分解にあり」等の動機で、とことん意欲的に
取り組み、極める人もいるかもしれない。また、因数分解自体に大変な興味を抱いてしまう人も居られるかもしれない
(世間は広いという意味で)。
色々と考えてしまうが、その数学的有用性など考えずに「思考力や記憶力の鍛錬という事で、数学として因数分解で完結しても
良いかもしれない」とも思う。それはそれで脳トレや、更には、忍耐力の養成にも役立つことと思う(そうしてみたいと
思う人にとってはの話だが)。
その延長線上に「因数分解世界選手権」や「因数分解オリンピック」等々、そんなのがあっても楽しいかもしれない
(悪のりか?)。
あれこれ考えてしまい、今夜も眠れない。
今月の問題
トランプ52枚の中から1枚を取り出したとき、それがハートである確率 \( \mathrm{P} \) を求めるため
(ハートマークのカードは13枚あるので)以下の様に立式したのだが・・・
\[ \mathrm{P} = \frac{ {}_{52} \mathrm{C} _{13} }{ {}_{52} \mathrm{C} _{1} } \]
このことについて検討せよ。
(この場合、別にトランプのマーク等何でも良いのですが、一小市民としては、バレンタインデーが近いので 「ハート」としてみました。「チョコレート等欲しくはない」と強がっている今日この頃です。
(しまった、また余計なことを言ってしまった。本当に余計なことを言ってしまった)
解答解説は次回に掲載予定です。
次回も宜しくお願い致します。
問題その2
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